후리가나로 읽는 일본 고전
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つきのまつやま
月の松山
山本 周五郎
山本 周五郎의 月の松山(つきのまつやま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,451자 · 41화면
と泰二郎は云った、「乱暴するつもりじゃあなかったんです」
「酔ってるんだ」
「済みません」泰二郎はおろおろした、「ついかっとなってしまって、――どこか痛めたんですか」
「少し酔ってるんだ」孝也はようやく立ちあがった、「もういい、大丈夫だ」
そして顔をそむけて歩きだした。右足をひきずるような、ひどく不安定な歩きぶりであった。
「宗城さん」泰二郎が呼びかけた。
「明日にしよう」
孝也は自分の住居のほうへ去った。泰二郎はそれを見送りながら、表現しようのない混乱した感情にとらえられた。暗い杉林の中のあまやかな香料の匂いと、桂の火のような喘ぎとが、あまりに脆く倒れた孝也の姿と重なりあったり、はなればなれになったりして、彼の想いをかき乱すようであった。
「明日にしよう」と泰二郎は呟いた、「そうだ、明日になればなにかわかるかもしれない」
しかし翌日になっても、孝也の態度に変りはなかった。
ただ一つだけ気がついたのは、孝也の動作にどこかしら力がなく、注意して見ると右足を少しひきずって歩くことである。また、もう四月中旬だというのに、いつも足袋をはいていた。道場へ出てもぬがないし、稽古袴を裾さがりにはいて、殆んど足首まで隠すようにしていた。