후리가나로 읽는 일본 고전
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すだま
木魂
夢野 久作
夢野 久作의 木魂(すだま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,668자 · 46화면
……という理由は外でもない。彼は生れつき山の中が性に合っているらしいので、現在でもわざわざ学校から懸け離れた山の中の一軒屋に住んで、不自由な自炊生活をしている位であるが、こうした彼の孤独好きの性癖は既に既に、彼の少年時代から現われていたのであろう。青い空の下にクッキリと浮き立った山々の木立を、お縁側から眺めていると、子供心に呼びかけられるような気持になった。一方に彼の両親も亦、引っこみ勝ちな彼の健康のために良いとでも思ったのであろう。そんな時には喜んで外出を許してくれたので、彼は中学校の算術教程とか、四則三千題とかいったようなものを一二冊ふところに入れて、近所の悪たれどもの眼を避けながら、程近い郊外を山の方へ出かけたものであった。
それは十や十一の子供としてはマセ過ぎた散歩であったが、それでも山好きの彼にとっては、この上もない楽しみに違いなかった。彼はそうした散歩のお蔭で、そこいらの山の中の小径という小径を一本残らず記憶え込んでしまっていた。どこにはアケビの蔓があって、どこには山の芋が埋まっている。人間の顔によく似た大岩がどこの藪の中に在って、二股になった幹の間から桜の木を生やした大榎はどこの池の縁に立っているという事まで一々知っていたのは恐らく村中で彼一人であったろう。