후리가나로 읽는 일본 고전
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みらいのてんさい
未来の天才
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 未来の天才(みらいのてんさい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,630자 · 38화면
私はのけものにされて、一寸手持ちぶさたな心地になり、次に嫌な気になって、黙って家の中にはいってしまった。
家の中にはいると、私は俄に後悔しだした。それかって、また出て行く訳にもゆかなかった。その上、折角の機会はもう、お上さんのためにぶち壊されてしまっていた。
私は自分の室の窓から、静子の家を眺めやった。隣家の庭の向うの板塀越しに、彼女の家の庭が少し見えた。門のすぐ側に松が一本あり、少し間を置いて、楓から檜葉、そして板塀に沿って、低い椿と高い躑躅、そのこんもりとした枝葉が、庭の地面から私の視線を遮っていた。あそこに静子が出て来てくれるといいが、と私は思った。然しそれだけではやはり仕方がなかった。
私は思い切って静子を家に呼ぼうかとも考えたが、その口実が見当らなかった。前年の秋、太平洋画会の切符を一枚やったことから、静子は三四度私の室に遊びに来たことがあった。然し今改めて来て下さいとは何だか云いかねた。また、向うからやって来るのを待っていたんでは、何時になることやら分らなかった。
私は全く途方にくれた。静子がポーズしてくれなければ、ケンブリッジの絵具もフランス製のカンヴァスも、何の用をも為さない訳だった。