후리가나로 읽는 일본 고전
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ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 本所松坂町(ほんじょまつざかちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 27,622자 · 55화면
どうせ、唯で帰る相手ではない。おのぶはこういう運命にもうすっかり馴れついていた。娘の眼にふれるところにいたくなかっただけのことである。
それと同時に、外にいる権次にも娘の抜けだしたことを気どられたくなかった。彼女は両手でガタガタと戸をゆるがし、それから力いっぱいに左へ押しあけた。
「おい、気をもたせるなよ、先客がいるのかと思ってハラハラするじゃねえか」
熟柿くさいにおいが、あぶらぎった体臭の中に溶けて、ぷうんと鼻先に流れてきた。おのぶは、わざとらしく捨鉢な笑顔を見せながら、
「ふざけるもんじゃないよ、人聞きのわるい」
男と死にわかれてから早くも六年になる。女の手ひとつで、とにもかくにも一家の生活を支えて、野良仕事はもちろん、機織から、近所の養蚕の手つだいまでやって、かいがいしく働いているおのぶの顔は浅黒く陽にやけてはいたが、三十五の今日にいたるまで小皺ひとつうかんでいない。眼と鼻のあいだの寸が少しつまっていることだけが難といえば難であるが、しかし、内に疼く肉体の若さは化粧をしていないだけにみずみずしかった。
「惚れてかよえば千里も一里というが、山坂となると一里の道は辛いぞよ」