일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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いなかがえり

林芙美子随筆集

林 芙美子

林 芙美子의 林芙美子随筆集(いなかがえり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 58,157자 · 118화면

아오조라 문고

尾崎さんが鳥取へ帰って行ってから間もなく、私は吉屋さんの家に近い下落合に越した。落合はやっぱり離れがたいのか、前の家からは川一ツへだてた近さであった。誰かが植民地の領事館みたいだと云ったが、外から見ると、丘の上にあって随分背が高く見えた。庭が広くて庭の真中には水蜜桃のなる桃の木の大きいのが一本あった。井伏鱒二さんは、何もほめないでこの桃の木だけをほめて行った。三輪にいる頃も、草花を植える趣味をひどく軽蔑して、何でも木を植えなさいと云っていたが、案のじょう、下落合の家に来ても、桃は春のうちに枝をおろしてやれとか、なかなかコウシャクがむずかしかった。

ここへ移って来てからも色々な人たちが来た。女流作家の人たちも沢山来てくれた。皆若い人たちで暗く長い私の文運つたなかりし頃の人たちと違って、もう一年か二年で頭角を現わした華かな人たちばかりであった。

鳥取へ帰った尾崎さんからは勉強しながら静養していると云う音信があった。実にまれな才能を持っているひとが、鳥取の海辺に引っこんで行ったのを私は淋しく考えるのである。

時々、かつて尾崎さんが二階借りしていた家の前を通るのだが、朽ちかけた、物干しのある部屋で、尾崎さんは私よりも古く落合に住んでいて、桐や栗や桃などの風景に愛撫されながら、『第七官界彷徨』