후리가나로 읽는 일본 고전
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
林 芙美子의 林芙美子随筆集(いなかがえり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 58,157자 · 118화면
と、噂をしていると、もうその声は蓄音機にはいっていると女中がどこからか聞いて来た。
「あのひとは朝鮮の人ですって、いい声ですね」
前の家の近くの我が家と云う喫茶店では、その朝鮮の人のディスクをかけていた。音楽の思い出と云うものはちょっといいものだ。この頃はその唄をうたって落合川を歩いたひとも偉くなってしまったのか、夏になっても、唄がきこえて来なくなってしまった。
私の隣りがダンスホール、その隣りが、派出婦会をやっている家でダブリュ商会と云うのだけれど、ダブリュ商会なんてちょっと変った名前だ。その次が通りを一つ越して武藤大将邸なのだが、お葬式のある日にどこからか花輪を間違えて私の家へ持ち込んで来た。おおかた拓務省の自動車や武藤家の自動車がうちの前まで並んでいたからであろう。遊びに来ていた母親は、大変エンギがよいと云って喜んでいた。町内の人が国旗を出して欲しいと云うので、国旗を買いに行くやらして、ひっそりと同じ町内の御不幸を哀悼していたのに、武藤邸の近くで磯節か何かのラヂオが鳴っているのには愕いてしまった。
武藤邸の前にはアルプスと云う小カフェーがあって、小さい女給さんが、武藤邸の電信柱に凭れて、よく涼みながら煙草を吸っている。