후리가나로 읽는 일본 고전
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
林 芙美子의 林芙美子随筆集(いなかがえり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 58,157자 · 118화면
障子を開けると、屋根の上に細い台がこしらえてあって、幾鉢か植木鉢が置いてある。白い花を持った躑躅や、紅い桃、ぎんなんの木、紅葉、苔の厚く敷いた植木鉢が薄陽をあびて青々としていた。庭が狭いので、屋根の上に植木を置いて愉しむ気持ちを面白いとおもった。如何にも京都の宿屋らしいと、わたしは、屋根にある桃の鉢を両手にかかえて机へ置いて眺めた。いい苔の色をしていて、素焼だけれど、鉢は備前焼のような土色をしていた。
*
早いめに昼食を済ませて、わたしは山科の方へ行ってみた。十年位前だったかに、大津から疏水下りをしたことがあったが、その折に見た山科の青葉は心に浸みて忘れられなかったので、わたしはあの辺をぶらぶら歩いてみたいとおもった。円タクをひろってどこでもいい景色のいい疏水のほとりに降ろして下さいと云うと、都ホテルの下の道を自動車はゆるく登って行った。都ホテルの堤には、つぼみを持った躑躅の木が堤いっぱい繁っていた。自動車の運転手が、これが蹴上の躑躅だと教えてくれた。
疏水のほとりで降りて、それから橋を渡り、流れに添ってぽくぽく歩いてみた。何と云う町なのか知らないけれども、郊外らしく展けていて、新らしい木口の家が沢山建っていた。