후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
「坊ちゃん、ほれ、このお乳ですよ。お鶴と二人で取りあいっこなすったのは。」
お浜は、次郎の手を探して、むりに自分の乳を握らせた。
「もうこんなにしなびてしまいましたわ。あのころは、坊ちゃんのお顔をすっかり埋めてしまうほどでしたのに。」
次郎は、お浜のあばら骨にへばりついている、つめたい、弾力のない肉の上に、ちょっぴり盛りあがっている乳房を指先に感じて、変に気味わるく思いながらも、何か、こう、泣きたいような甘さを胸の奥に覚えた。
「坊ちゃんが、お母さんのお乳をおいただきになったのは、たった二十日ばかりで、あとは、みんなこのお乳でしたのよ。だから、あたし、心のうちではいつもお母さんに威張っていましたの。……でも、……」
と、お浜は、かなり永いこと默りこんでいたが、急に身をおこして、自分の夜具にもぐりこみながら、
「ああ、あ、そのお母さんも、もういらっしゃらないし、乳母やも、威張るのに、ちっとも張合いがありませんわ。こうしてひさびさでお伺いしても、坊ちゃんのことを、どなたとしみじみお話ししていいのやら……」
お浜は、それから、お民の危篤の電報を受取って正木の家に駆けつけたおりの話をし出し、