후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
むろん次郎がどんな気持でいるのか、それにはまるで気がついていなかったらしい。
「すぐまた、ここにおいでよ。これから餅を焼くんだから。」
源次が芋の皮を炉に投げこみながら言った。
次郎は変にそぐわない気持で立ち上った。すると誠吉が、
「餅なら、僕がとって来らあ。……次郎ちゃん行こう。」
と、次郎と肩をくみそうにした。次郎の手は、しかし、ぶらさがったままだった。
蝋小屋を出て、母屋の土間にはいると、誠吉は、台所で午飯の支度をしていたお延に言った。
「母さん、源ちゃんが餅を下さいって、次郎ちゃんと、蝋小屋で焼いて食べるんだってさ。」
次郎には、誠吉のそうした卑屈な言葉が、いまはとくべついやに聞えた。
「もうすぐお午飯だのに。……でも、少しならもっておいでよ。」
お延は、そう言って、次郎の方をちらと見た。次郎には、それもいい気持ではなかった。
彼は茶の間をぬけて、座敷の次の間まで行ったが、そこで立ちすくんでしまった。襖のむこうからは、ひそひそと話声がきこえるが、落ちついて立ち聞きする気にはもうなれない。さればといって、思いきって座敷にはいって行く勇気も出ない。結局、従兄弟たちに言った嘘をほんとうらしくするために、わざわざここまでやって来たに過ぎないような結果になってしまったのである。