후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 117,781자 · 235화면
お芳としては、ただ正直に真心こめて仂くだけのことだったが、その仂きが効果をあらわせばあらわすほど、そしてそれが俊亮に認められれば認められるほど、お祖母さんとしては自分の影がうすくなるような気がするのだった。恭一の学資の心配がなくなったのは、うれしいことにはちがいなかったが、それが恭一のことであるだけに、そのかげにお芳の力、ひいては大巻の力を認めないではいられないのが、たまらなくくやしかった。それも、大巻の家が遠方にでもあればまだしも、すぐ目と鼻の間にあって、日に何回となく双方から行き来するので、いかにも自分ひとりが人質にでもとられているような気がしてならなかったのである。
お祖母さんのそうしたひがみは、何かにつけ、遠まわしの皮肉となってお芳の耳に刺さった。しかし、その痛みを感じたものは、お芳ではなくて、むしろ俊亮だった。しかもその俊亮でさえ、何もかも肚にのみこんで、表面では何ごともなかったような顔をしているので、お祖母さんとしてはいよいよもどかしくなり、その結果が、次郎と俊亮を相手に愚痴をこぼし、口ぎたなくお芳のかげ口を言うばかりか、俊亮を大の親不孝者とさえ呼ぶようになって来たのである。