후리가나로 읽는 일본 고전
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
葉山 嘉樹의 海に生くる人々(うみにいくるひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 161,305자 · 321화면
マストのカンバス(帆布)は、ハッチの上部カバーであった。それは全くさびしい姿であった。火のない船であった。人のいない船であった。生命のない捨てられた世界であった。われわれは皆サロンデッキに並んで、浪と運命を共にするであろう、その船に別れを告げた。だれの心にも黒い、寒い寂寥が虫食った。
これは、やがて、わが万寿丸の運命でもあった。われらが、船底に飢えと寒さとに倒れて漂流する時に、も少し大きな船がまた、われらの傍を通るであろう。われらは信号を掲げねばならぬことを知っているだろう。またわれらは、人間がその船室に凍えかけていることを、知らせる必要のあることを知っているであろう。それにもかかわらず、だれも甲板に出ないであろう。出られないのだ。途中でたおれてしまうのだ。
そして、ようやく、最後の一人がデッキへはい出た時には、今汽笛を鳴らして通った船は、浮かべる一大不夜城の壮観を見せて、三マイルも行き過ぎているであろう。
このようにして、わが万寿丸は汽笛を鳴らして通過した。その汽笛をかすかに聞いて、今立ち上がろうとして、その凍えたからだに最後の努力ともがきとを試みている兄弟が、その船の中にいないだろうか、そのたよりない捨てられた犬の子のように哀れな形をした船の中に。