일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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うみのししゃ

海の使者

泉 鏡花

泉 鏡花의 海の使者(うみのししゃ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,811자 · 10화면

아오조라 문고

上

何心なく、背戸の小橋を、向こうの蘆へ渡りかけて、思わず足を留めた。

不図、鳥の鳴音がする。……いかにも優しい、しおらしい声で、きりきり、きりりりり。

その声が、直ぐ耳近に聞こえたが、つい目前の樹の枝や、茄子畑の垣根にした藤豆の葉蔭ではなく、歩行く足許の低い処。

其処で、立ち佇って、ちょっと気を注けたが、もう留んで寂りする。――秋の彼岸過ぎ三時下りの、西日が薄曇った時であった。この秋の空ながら、まだ降りそうではない。桜山の背後に、薄黒い雲は流れたが、玄武寺の峰は浅葱色に晴れ渡って、石を伐り出した岩の膚が、中空に蒼白く、底に光を帯びて、月を宿していそうに見えた。

その麓まで見通しの、小橋の彼方は、一面の蘆で、出揃って早や乱れかかった穂が、霧のように群立って、藁屋を包み森を蔽うて、何物にも目を遮らせず、山々の茅薄と一連に靡いて、風はないが、さやさやと何処かで秋の暮を囁き合う。

その蘆の根を、折れた葉が網に組み合せた、裏づたいの畦路へ入ろうと思って、やがて踏み出す、とまたきりりりりと鳴いた。

「なんだろう」

虫ではない、確かに鳥らしく聞こえるが、やっぱり下の方で、どうやら橋杭にでもいるらしかった。