후리가나로 읽는 일본 고전
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 海神に祈る(かいじんにいのる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,486자 · 26화면
「湯か」
「後がつかえるから、早う入ってもらいたいが」
「俺は今日は、入らん、今井さんに入れと云え」
「殿様が来ておるに、湯に入って垢を落とせばええに」
武次はまだ何か云いながら往ってしまった。権兵衛は口元に苦笑をからめたが、すぐまた考えこんだ。
その時浜の方で法螺の音がしはじめた。人夫に仕事を措かす合図であった。仕事を措いた人夫が囂囂云いながらあがって来た。人夫は地元の者もあれば、隣村の者もあり、また遠くから来て小舎掛をして住んでいる者もあった。
五
間もなく夜になった。其の夜は月がないので暗かった。其の夜の八時すぎになって堰堤の突端に松明の火が燃えだした。其処には明珍長門家政作の甲冑を著けて錦の小袴を穿き、それに相州行光作の太刀を佩いた権兵衛政利が、海の方に向けてしつらえた祭壇の前にひざまずいていた。そして、其の周囲には一木家の定紋の附いた紫の幔幕を張りめぐらしてあった。
「どうか私の此の体を犠牲に御取りくださいまして、釜礁を除くお赦を得とうございます」
下僚たちは権兵衛が云いつけてあるので何人も傍に来ている者がなかった。
「此の礁が一日も早く除れまして、此の荒海を往来する諸人をお助けくださいますようにお願いいたします。