후리가나로 읽는 일본 고전
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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
富田 常雄의 消えた受賞作 直木賞編(しせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,806자 · 36화면
刺青
ミチは他の女性の様に銭湯へ行くのに、金盥やセルロイドの桶なぞに諸道具を入れて抱えて行く様な真似はしない。手拭一本に真白な外国のシャボンを入れた石鹸函だけを持って行くだけなのだ。だから、今夜も、ひょっとすると夜明かしかも知れぬ勇を待ち切れずに読みさしの小説本を抛り出して、玩具の様に小さな、朱塗りに貝をちりばめた鏡台から石鹸函を取り上げて、素肌にじかに着たピンクのワンピースの短い裾から、見事に白く、すらりとした脛をのぞかして、荒物屋の二階借りの六畳をひとまたぎに梯子段の方へ行きかけた。
何時の間に登って来たのか、白ズボンをよれよれにし、紺の開襟シャツの胸をはだけた勇が三尺の登口に不機嫌に突立って居た。不思議なことは、彼も終戦後の若者の例に漏れず、服装のだらしなさにも関わらず、頭だけは蜻蛉の眼玉の様に油で撫ぜ付けて黒々と光らせて居た。身だしなみが頭髪にだけ残って他のボロや不潔は苦にしない現代風俗の一つである。
「お帰り、今夜も夜明かしかと思った」
ミチは疲れ切った男の為に、部屋に戻り、押入れから、縞目もわからぬ木綿布団を無造作に引き出して敷いた。勇は仰向けに布団へ転がると大きな息を吐いた。