후리가나로 읽는 일본 고전
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りんらくのこうじょのおぼえがき
淪落の皇女の覚書
久生 十蘭
久生 十蘭의 淪落の皇女の覚書(りんらくのこうじょのおぼえがき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,649자 · 56화면
二十歳の年、この臆病なロシアの皇太子は生涯にただ一度の恋愛をした。マリンスキー劇場のクシンスカヤという首席舞踊手に陶酔しているうちに男の子供が生れた。これはたいへんな悶着をまきおこす椿事だったが、平生の臆病にも似ず、魔に憑かれたようになって一切のいきさつを父帝に告白し、英国式の貴賤相婚 Marganatic marriage(妻または子は、夫または父の身分財産を相続し得ない結婚)をほのめかして結婚の許可を乞うたが、アレクサンダア三世がそんなたわけた申出に耳を藉すはずはなく、従弟のゲオルグ希臘皇子と二人、軍艦に乗せられて東洋旅行に出されてしまった。
軍艦での生活は監禁も同様で、上陸すればゲオルグは離れずにどこへでもついてくる。つまるところゲオルグはアレクサンダア三世の意をうけた事実上の監視人なのであった。それにもかかわらず、ニコラスはマルセーユでクシンスカヤからの電報を受けとることができた。予期していたようにそれは永遠の別離を告げる涙に濡れた挨拶で「鳥は飛び去り、花は散りぬ」というのがその電文であった。クシンスカヤとその子は英国へ行ったとも南米へ行ったともいわれるが、その後の消息は知られていない。