후리가나로 읽는 일본 고전
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
外村 繁의 澪標・落日の光景(みおつくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,889자 · 268화면
「このデブガン奴が」
私は左手を妻の右肩に当て、その背中を擦る。黒い垢が、縒れて出る。窓は開いているが、浴室の温気のため、私の肌に汗がにじむ。
「ああ、よい気持。オーチャン、サンキュー」
「オーチャン」とは、私の子供達の幼い時の「お父ちゃん」の愛称である。今も甘える時などに用いられている。妻もよほど気分が好いのであろう。
蜩が頻りに鳴いている。西の空は刻刻その光彩を変じている。今は金色の光芒も消え、隣家の屋根の上に僅かに赤色を残して、樺色と水色の空が融け合っている。極めて静謐な感じである。
颱風の余波を受け、暗雲が垂れ籠めている。かなり強い風が木木の枝を振り乱し、時時、激しい雨が降った。しかし暑気は幾分和いだようである。
「恐しいもので、汗疹が少し引いたようですわ」と、素子は言っていたが、麻痺薬を飲んだのか、今は床の上に横になって、眠っているようである。
物の飛び落ちる、高い音が聞こえる。思わず妻の方を見る。が、素子は微かな寝息を立てて眠っている。そう言えば、素子は外部の音は比較的気にしないが、家の中の音には、玄関の扉の開く音にも、ひどく敏感なようである。