일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

外村 繁의 澪標・落日の光景(みおつくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,889자 · 268화면

아오조라 문고

中谷は全く酒を嗜まない。が、私達の酒がどんなに長引いても、中谷がいなくなるようなことはない。電車のなくなった、京都の深夜の街を、私は中谷と歩いて帰ったことも幾度かある。

中谷も、梶井も私より二年前に三高に入学している。しかし二人とも二度原級に停められている。いずれも出席日数の不足に因る。殊に中谷には既に愛人(現夫人)もあり、同棲していたこともある。が、今は彼女とも別れている。そんな人の心と心との葛藤もあろう。自分自身の心の悔恨もあろう。中谷はいつも不機嫌であったし、その表情には暗鬱な翳が消えることがなかった。

しかし中谷の不機嫌と、憂鬱とは、最早、彼の皮膚に染みついたものかも知れない。中谷にとっては、むしろこの時代は小康を保っていた時期と言える。彼は親戚の家に下宿し、学校へも比較的よく出席している。性欲に対しても、一応、苦悩期を脱皮し得たのであろう。時には遊廓へ行くこともあるらしいが、最早、感情を乱すようなことはない。童貞の私達とは段が違う。性の醜悪さを知りつくしている。私達が、盲が蛇に怖じない風の、露骨な――本当は至って無邪気なものであるが――猥談に打ち興じていると、中谷は言う。