후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとり
火の鳥
太宰 治의 火の鳥(ひのとり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,740자 · 76화면
持ちものは、籐のステッキ一本である。部屋へ通された。はいるとすぐ、窓をあけた。裏庭である。火葬場の煙突のような大きい煙突が立っていた。曇天である。省線のガードが見える。
給仕人に背を向けて窓のそとを眺めたまま、
「コーヒーと、それから、――」言いかけて、しばらくだまっていた。くるっと給仕人のほうへ向き直り、「まあ、いい。外へ出て、たべる。」
「あ、君。」乙彦は、呼びとめて、「二晩、お世話になる。」十円紙幣を一枚とり出して、握らせた。
「は?」四十歳ちかいボーイは、すこし猫背で、気品があった。
乙彦は笑って、「お世話になる。」
「どうも。」給仕人は、その面のような端正の顔に、ちらとあいそ笑いを浮べて、お辞儀をした。
そのまま、乙彦は外へ出た。ステッキを振って日比谷のほうへ、ぶらぶら歩いた。たそがれである。うすら寒かった。はき馴れぬフェルト草履で、歩きにくいように見えた。日比谷。すきやばし。尾張町。
こんどはステッキをずるずる引きずって、銀座を歩いた。何も見なかった。ぼんやり水平線を見ているような眼差で、ぶらぶら歩いた。落葉が風にさらわれたように、よろめき、資生堂へはいった。