후리가나로 읽는 일본 고전
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とうみょうのまき
灯明之巻
泉 鏡花
泉 鏡花의 灯明之巻(とうみょうのまき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,444자 · 47화면
地の利によらないことは、それが木曾路でも、ふとすると、こんな処で、どうした拍子、何かの縁で、おなじ人に、逢うまじきものでもない、と思ったろう。
仏蘭西の港で顔を見たより、瑞西の山で出会ったのより、思掛けなさはあまりであったが――ここに古寺の観世音の前に、紅白の絹に添えた扇子の名は、築地の黒塀を隔てた時のようではない。まのあたりその人に逢ったようで、単衣の袖も寒いほど、しみじみと、熟と視た。
たちまち、炬のごとく燃ゆる、おもほてりを激しく感じた。
爺さんが、庫裡から取って来た、燈明の火が、ちらちらと、
「やあ、見るもんじゃねえ。」
その、扇子を引ったくると、
「あなたよ、こんなものを置いとくだ。」
と叱るようにいって、開いたまま、その薄色の扇子で、木魚を伏せた。
極りも悪いし、叱られたわんぱくが、ふてたように、わざとらしく祝していった。
「上へのっけられたより、扇で木魚を伏せた方が、女が勝ったようで嬉しいよ。」
「勝つも負けるも、女は受身だ。隠すにも隠されましねえ。」
どかりと尻をつくと、鼻をすすって、しくしくと泣出した。
青い煙の細くなびく、蝋燭の香の沁む裡に、さっきから打ちかさねて、ものの様子が、思わぬかくし事に懐姙したか、また産後か、おせい、といううつくしい女一人、はかなくなったか、煩ろうて死のうとするか、