후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
むだい
無題
宮本 百合子
宮本 百合子의 無題(むだい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,172자 · 11화면
私は、此の歓びから満ち溢れる感謝を、今、誰に対しても、何に対しても惜もうとは思えない。芥川さんにも、海へも落さずよく運んで来た麻嚢にも、私は真心から有難を云う。真個に有難う……。
けれども、私は又、此の興奮の最中に在りながら、一体、何で自分が此那に、じっとして居られない程熱く成って居るかを考えずに居られない。
御覧なさい。私は今、真赤な顔をして居ます。頭の中じゅうが、ブンブンと廻るような気がして居ます。けれども、一体何が、真個に、何が此那に、自分を動かしたのだろう――。
凝と考えて見ると、私の興奮したものは、紙切れに印刷された言葉ではない。事件ではない。その言葉と言葉との間に、〔二字分空白〕として立ち迷って居る響の影である。捕えれば消えも仕そうな陰影と陰影との限り無い錯綜である。その錯綜の産む気分である。そして、その気分は嘗て洛中に住む一人の都人であった、彼の誰だか分らない「私」の胸を満たしたと同じに、今、芥川氏の心を揺り、私の魂にまで、そのじわじわと無限に打ち寄せる波動を及ぼしたのである。そして、今、図書館の大きな机の上で我を忘れようとして居る私は、その気分の薫り高さに息もつきかねる心持で居る。