후리가나로 읽는 일본 고전
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いぬさんたい
犬三態
宮本 百合子
宮本 百合子의 犬三態(いぬさんたい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,236자 · 9화면
暑い暮れ方の静かな庭の中で、その若くない犬の姿は心を惹きつけるものをもっていた。全身に力闘の疲労のあとが感じられ、人間一般を明らかに敵と感じている。
現在おかれている有様は受け身の警戒の形なのだが、その犬の心としては主張するところをもっていて、犬の身になってみれば何となしそれが尤もでありそうな、そういう表情が、毛のささくれた穢れた体に漲っている。敵意に充ちているけれども卑屈な表情はちっともないのである。
長いこと黙って甃のところからその犬と向いあって坐っている内に、芝居の景清を思い出した。自分から俺は悪七兵衛景清と名のって、髪を乱して、妻子にわざとむごい言葉を与えて、自らを敵意のうちに破る景清の姿と、その若くない荒繩をひきずった犬の姿とには、何か印象のなかで通じるものをもっている。
おい、お前は景清のようだよ。知ってるかい。狂犬ではないのだ。何かやってひどくいじめられて、首輪のところからつながれていたのを必死に切って逃げて来ているので、ずるずる地面を引ずる荒繩の先は藁のようにそそけ立ってしまっているのであった。
景清は、それからずっとその庭にいついた。