후리가나로 읽는 일본 고전
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
犬田 卯의 犬田卯短編集二(いちろうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,383자 · 103화면
仙太は、でも神妙に山裾の開墾地へ行って午前中だけ働いた。あとで女房から証跡を発見されてはいけないと無論考えたのである。が、十一時、十二時近くになって、眼の前の道をぞろぞろと人々が押しかけはじめるのを見ると、もうたまらなかった。お祭の朝の小学生のように彼の胸は嵐にふくらんでしまった。
野良着の裾を下ろした彼は、そのまま宙を飛んだ。町の郊外にある競馬場は、もう人で埋っていた。すでに何回かの勝負があったらしく、喊声や、落胆の溜め息や、傍観者の笑いさざめきなどが、ごっちゃになってそこから渦巻き昇っていた。
彼は人混みを分けて柵に近づいた。煙草入のかますから、前夜隣家から借りて切り抜いて取っておいた新聞の一片――そこには無論、昨日の勝負が掲載されてあった――を引き出して、彼は熱心に眺め入った。もう組合せは相当興味のある部分へ入っていた。彼は出場するそれぞれの馬の名前、騎手の名前は殆んど知っていた。そしてどの馬がもっとも成績がよいか、どの騎手が最近出来が悪いか、などというかなり細かいところまで知っていた。
しかし今日は新しい馬もだいぶ現れていた。それは穴をねらっての主催者側の作戦であることは分り切ったことだが、それが図に当って、場内は刻一刻熱狂してきつつあった。