후리가나로 읽는 일본 고전
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
犬田 卯의 犬田卯短編集二(いちろうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,383자 · 103화면
四
季節はあまりに早く推移するように思えてならなかった。いつか、村の前面を迂曲する谷川の氷が割れて冬中だまりとおしたせせらぎが、日一日とつぶやきを高め、ついにそれは遙かに人家の方へまで淙々のひびきを伝えて来るまでになってしまった。山々の雪が解け出したのだ。春四月にもなれば毎年きまって繰返される自然の現象ながら、村人には、その大地の底から湧き起るような遠いとどろきと雪解の黒い山肌とは、何かしらじっとしておれないどよめきを感じさせずにいなかった。
人々は炉辺から起ち上る。そして真っ先に冬季中、山で焼かれた炭を運び出すべき時節であった。ところが今年は、その炭運びのための肝心の馬の使えない家が――当の馬奴は厩の中で早く戸外へ出たくて眼色をかえ、張りきって土間を足騒いているにも拘らず、――そこにもここにも出現していた。
栗林儀作のところも無論その中の一軒だった。儀作は雪解の泡立つ流水を落している川瀬の音に頭脳をもみくちゃにされ、青々と色づいた山々や、柔かい大空、中腹の段々畑の土がひょこり、ひょこりと真っ黒に、一日ごとに現れ出るのなどを眺めやるたびごとに眼がくらくらしてきて、ついに、口に出して言ってしまう。