후리가나로 읽는 일본 고전
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
梅崎 春生의 狂い凧(くるいだこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 111,430자 · 226화면
小さな玄関を出て、私鉄の駅に向う坂道を降りて行った。坂を降り切ったところに大きな黒牛がうずくまって、人だかりがしていた。近寄って見ると、荷台をつけたまま牛は横倒れになり、体躯全体であえぎながら、口から血の混ったよだれを垂らしていた。大きな蠅がしきりにそこらを飛び交っている。血よだれはあとからあとからしたたって、地面を汚した。
「もう長いことはないな」
それは人間の死よりもっと強く身近に〈死〉というものを栄介に感じさせた。彼は五分間ほど牛の動きをじっと観察し、そしてゆっくり歩き出した。時計を見ると、今から東京駅に行って、間に合うか間に合わないかの時刻であることが判った。電車を待って歩廊を行ったり来たりしながら、幸太郎が突然家に訪ねた時の気まずさと、こちらから駅に出迎えに行く気分の重さと、栄介はしきりに計りにかけていた。やがて電車が来た。
乗り込んでしばらくして、彼はやっと出迎えに行く決心をつけた。いつ襲って来るか知れない災厄をびくびくして待つよりも、きまった時刻に首の座に坐った方がまだましだ。彼は苦笑いとともに、そう考えた。
階段を登って、東京駅の歩廊に出た。