후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
ねこすてざか
猫捨坂
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 猫捨坂(ねこすてざか)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,043자 · 21화면
その古板に、あの時は三日月の淡い光りがさしていた。あの女とただ一度のキスをした晩のことだ。
屋台店でアルコール焼酎を飲んで、少しく酔って、帰りかけると、電車から降りてきた彼女に逢った。映画を見に行った帰りだというようなことから、話をするともなく、連れ立つともなく、いっしょに歩いた。果物類の雑貨を商ってる店の娘だ。実の娘ではなく、田舎の親戚から手伝いに来てる者で、年はだいぶ取ってるらしい。
女の方から先に立って、事もなげに猫捨坂へ向うのである。二人だから怖くないと思ってるのであろうか。俺の方は勿論怖くなんかない。風のある温い晩だった。
坂の敷石は、二人並んでは歩けない。女は先に立って下り始めた。足元が薄暗くて危なっかしい。大した風でもないが、椎の木の茂みにさーっと音を立てる。
坂の中途まで行った時、坂下の先方で犬が吠えた。その声はまもなく止んだ。女は立ち止ってしまった。俺は敷石を離れて草の中に出た。肩を並べると、女も歩きだしたが、ぐんぐん俺の方へ体を押し寄せてくる。やがて女も、敷石を離れて、俺の方の草の中にはいってくる。女の体とコンクリート塀との間に俺は挾まれて、歩くことも出来ない。