후리가나로 읽는 일본 고전
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ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
宮本 百合子의 猫車(ねこぐるま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,310자 · 35화면
坂口は重蔵の笑い顔に溢れている嘲弄を感じる余裕もない様子で、声を低め、
「――こんどは、醤油屋が儲けよった」
とまた真面目に繰返した。
「醤油屋?――どこの……」
するとおさやが、どういうわけだかこのとき、少し怒ったような声を出して、
「飯田どすがな!」
と説明した。
「ふーん。あすこ、そんなに持っちょるか?」
「持っちょる!」
しばらくそれなり皆が黙っていた。やがて重蔵が煙草の吸い殼をおとしながら、
「坂口はん、あんた、ひとの儲けた話ばかり数えておいでるが、自分が儲けなんじゃ仕様がないやないか」
瀬戸ものの総入歯の不自然な歯並びを見せて、おさやに目配せするように笑った。自分の富に対する揺がぬ自信と、世の中のけわしい貧富の流れの間から何を掴んで来るかを心得た地主の笑いかたである。大正七八年の恐慌で庄平の一家が初めて倒産に瀕したとき、ともかく店を続けさせたのは坂口であった。その金にはもとより利がついた。それから二十年近い歳月は、その頃どこか北海道の方にいた重蔵を世間の表に浮き上らせ、坂口を次第に寒げなこの世の横丁の方へと追いはじめている。
これから失うものはもう手足の働きで決してとり戻せない年になって俄に株にこり出した坂口の姿は、みるたびおさやの心に恐怖に似た感情をかき立てるのであったが、その一方に、怖いもの見たさのよう