후리가나로 읽는 일본 고전
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
宮本 百合子의 獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 215,557자 · 426화면
すっかり初夏となりました。夜のかけものがいつの間にかあつすぎて、すこし汗ばむような工合になるのも五月という気候の風情です。段々病気もゆるやかになって体のまるみもついて来て、自分で新しくそれを感覚するようなときの初夏には、云うに云えない若やかなものがあって面白い感情です。自然のうつりかわりが実に生々と新鮮によろこばしく映って。
でも、二三度外へ出てみると、このあしかけ二年ほどの間にいろいろ世の中の様子が変化したのを感じます。それも沁々と感じます。日本の人は万事にゆきとどくという美点をもっているのでしょうね、しかし大まかさにも自然のゆとりがあって人間らしいふくらみがある筈です。ゆき届きすぎて非人間めくのは、利口馬鹿のやりてな女ばかりでもない様子です。
こないだうち珍しいから目をみはって歩いたけれど、もとのように思い設けぬ飾窓に、びっくりするほど美事な蘭の蕾の飾られてあるのや、それが珠のように輝いたりする眺めは見当りませんでした。そちらへ差入れの花も払底な時だから、きっとそういうどちらかと云うと贅沢な美観は街からもかくれているのでしょう。
でも、どこかでそれはやはり美しく立派で、蕾から花と開き又新らしく萌えたつ豊かな循環を営んでいるにちがいありません。