후리가나로 읽는 일본 고전
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
大杉 栄의 獄中記(ごくちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,988자 · 58화면
しかし、厚い三寸板の戸の内側を広く外側を細く削ったこの「のぞき穴」は、そとからうちを見るには便宜だろうが、うちからそとを窺くにはまずかったので、こんどは蹲がんで、そっと「食器口」の戸を爪で開けて見た。例の巨人の顔は前よりも多く、この建物の端から端までのがみんな見えた。しかしその二十幾つかの顔のどの目からも予期していた本当の人間の目は出て来なかった。そしてみんなこっちを睨んでいるように見える巨人の顔が少々薄気味悪くなり出した。
「もうみんな寝たんだろう。僕も寝よう。みんなのことはまたあしたのことだ。」
僕はそっとまた爪で戸を閉めて、急いで寝床の中へもぐりこんだ。綿入一枚、襦袢一枚の寒さに慄えてもいたのだ。
すると、室の右側の壁板に、
「コツ、コツ。コツ、コツ。コツ、コツ。」
と音がする。僕は飛びあがった。そしてやはり同じように、コツコツ、コツコツ、コツコツと握拳で板を叩いた、ロシアの同志が、獄中で、このノックで話をすることはかねて本で読んでいた。僕はきっと誰か同志が隣りの室にいて、僕に話しかけるのだと思った。
「あなたは大杉さんでしょう。」
しかしその声は、聞き覚えのない、子供らしい声だった。