일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ごくちゅうき

獄中記

大杉 栄

大杉 栄의 獄中記(ごくちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,988자 · 58화면

아오조라 문고

初め東京監獄からここに移されて、冷たい暗い一室の中にほうり込まれた時には、実は少々心細かった。春ももう夏近い暖かい太陽のぽかぽかと照る正午近い頃だった。それだのに、室へはいると急に冷たい空気にからだじゅうをぞっと打たれる。四方の真白に塗った煉瓦の壁や、入口の大きな鉄板の扉は、見るからにひいやりとさせる。試みにそれに手をあてて見ると、そこからぞくぞくと冷たさが身にしみて来る。それに、窓が伸びあがってもとどかない、上の方に小さく開いているので、薄暗くて陰気だ。座席として板の間に敷いてある一枚のうすべりまでが、べとべとと湿っているような気がする。

命ぜられたまま、扉に近く扉の方に向いてこのうすべりの上に坐っていたが、その扉は上下が鉄板でその間が鉄の格子になっていて、しかも僕の室のすぐ真ん前に看守がテーブルを控えて突っ立っているので、絶えず監視されているという不愉快が、その看守の大して意地悪そうでもない平凡な顔をまでも妙に不愉快にさせる。「石の家は人の心を冷たくする」というロシアの諺が思い出されて、ちょいちょい窃み見するようにして僕の方を見るその看守を、この男はきっと冷たい心を持っているに違いないなぞと思わせる。