후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
「それは知らぬ。わしが見たのでない、唯その話を人から聞いたまでじゃ」と、翁はおちつき顔に答えた。「しかしわしの考えでは、それが古塚のぬしであろうも知れぬ。うかと出逢うたが弥五六の不運じゃ。それに懲りてこの頃では、日が暮れてからあの森の近所を通り過ぎるものは一人もないようになった」
「不思議じゃのう」
「不思議というよりも怖ろしい。お前も心してその祟りに逢わぬようにおしやれ。婆や弥五六がよい手本じゃ」
その上臈がもしや玉藻ではないかという疑いが、千枝太郎の胸にふと湧き出した。果たしてそうならば、藻は塚のぬしに祟られて、その魂はもう入れ替わっているのである。たといその形はむかしの藻でも、今の玉藻の魂には悪魔が宿っているのである。彼はその疑いを解くためにこれから毎晩その森のあたりに徘徊して、怪しい上臈の姿を見とどけたいと思った。そうして、それを一つの手柄にして、彼は師匠の勘当をゆるされようと考えたのであった。
翁との話はここらで打ち切って、千枝太郎は早々にここを出た。出る時に、彼は再び隣りの柿の梢をみあげると、その高い枝は青い大空を支えているように大きく拡がって、ところどころにはもう薄紅い光沢をもった木の実が大きい鈴のように生っていた。