후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
何者にか、その袖をしっかりと掴まれているのであった。
「千枝太郎、待ちゃれ」
それが師匠の声であることは、この場合にもすぐに覚えられたので、彼はあわてて捻じ向くと、自分の袖を掴んでいるのは兄弟子の泰忠であった。そのそばには播磨守泰親も立っていた。
「千枝太郎。あっぱれの働きをしてくれた」と、泰親は自分の足もとにひざまずいている弟子をみおろしながら言った。「もう追うには及ばぬ。正体はたしかに見とどけた。お身の訴えを泰忠から聴いて、泰親自身で様子を探りにまいった。よう教えてくれた。かたじけないぞ。これで正体もみな判った」
師匠はひどく満足したらしい口吻であるが、弟子にはそれがよく判らなかった。千枝太郎は怖るおそる訊いた。
「して、あの車のぬしは何者でござりましょう」
「お身の眼にはなんと見えた。あれは紛れもない玉藻じゃ」
「玉藻でござりましょうか」
「彼女でのうて誰と見た。三浦の娘などと思うたら大きな僻目じゃ」と、泰親は意味ありげにほほえんだ。
千枝太郎は再びおびやかされた。師匠も自分の胸の奥を見透かしているらしいので、彼は重い石に圧し付けられたように、頭をたれたまま小さくうずくまっていた。