후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
千枝松はまたびっくりして振り向くと、鬚の長い男と色の白い女とが階段の下へ牽き出されて来た。かれらも天竺の囚人のように、赤裸の両手を鉄の鎖につながれていた。
千枝松はぞっとした。銅鑼の音はまた烈しく鳴りひびいて、二人の犠牲は銅の柱のそばへ押しやられた。千枝松は初めて覚った。油を塗った柱に倚りかかった二人は、忽ちにからだを滑らせて地獄の火坑にころげ墜ちるのであろう。彼はもう堪まらなくなって眼をとじようとすると、階段の下に忙がわしい靴の音がきこえた。
今ここへ駈け込んで来た人は、身の長およそ七尺もあろうかと思われる赭ら顔の大男で、黄牛の皮鎧に真っ黒な鉄の兜をかぶって、手には大きい鉞を持っていた。彼は暴れ馬のように跳って柱のそばへ近寄ったかと思うと、大きい手をひろげて二人の犠牲を抱き止めた。それをさえぎろうとした家来の二、三人はたちまち彼のために火の坑へ蹴込まれてしまった。彼は裂けるばかりに瞋恚のまなじりをあげて、霹靂の落ちかかるように叫んだ。
「雷震ここにあり。妖魔亡びよ」
鉞をとり直して階段を登ろうとすると、女は金鈴を振り立てるような凛とした声で叱った。