후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
二人はひたと身をよせて更に何事をかささやき合おうとするところへ、木の間伝いにここへ近寄って来る足音がきこえた。兼輔はすこし慌てて見かえると、その人は三十をまだ越えたばかりの痩形の男で、顔の色はやや蒼白いが、この頃の殿上人には稀に見る精悍の気がその鋭い眼の底にあふれていた。彼はわざと拗ねたのであろう、きょうの華やかな宴の莚に浄衣めいた白の直衣を着て、同じく白い奴袴をはいていた。
彼はきょうのあるじの忠通の弟で、宇治の左大臣頼長であった。彼は師の信西入道をも驚かすほどの博学で、和歌に心を寄せる兄の忠通を常に文弱と罵っているほどに、抑えがたい覇気と野心とに充ち満ちている人物であった。この人にじろりと鋭い一瞥を呉れられて、兼輔はなんだか薄気味悪くなって来た。ことに場合が場合であるので、彼はいよいよ度を失って、肌の背には冷汗がにじんだ。
「ほう、左少弁はこれにいたか」と、頼長はその怖い眼には不似合いな柔かい声で言った。
それでもこちらはやはり落ち着いていられなかった。彼は酒の酔いを醒ますためにこの川端へ降りていたことを言い訳がましく答えると、頼長はあざ笑うような眼をして黙って聞いていた。