후리가나로 읽는 일본 고전
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りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 理想の女(りそうのおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,162자 · 77화면
私は自ら知らないで、眼の前を通り過ぎるあらゆる女の、髪の匂い、眼の輝き、唇の色、頸筋の皮膚、胸の脹らみ、腰の曲線、足の指先、などを臆面もなく而もひそかに窺っていた。その上、異性をよく知ってる私の眼は、青春期の童貞の夢幻的な眼よりも、相手の各局所を評価するのに鋭利だった。それだけにまた、私の眼には享楽的な実感が濃く裏付けられていた。
問題は誰に在るかを自ら尋ねてみた時、私は初めて右の事実に気付いたのだった。秀子の嫉妬は、或る意味に於て至当だったのである。私はあらゆる女性に、心を――恋愛的な心を寄せていたのだ。あらゆる女性を対象として、現実的気分で塗られた恋愛を空想していたのだ。私の愛情は一人の女を離れて、少くとも心持の上だけでは、あちゆる女の上に分散させられていた。危険と云えば、凡ての女が危険だった。長谷川道子も、友人の妻君も、電車に乗り合した令嬢も、劇場の廊下で行き合う夫人も、カフェーの女給仕も、年若くて或る種の容姿を具えている以上は、皆危険だった。
省みてこのことを気付いた時、私の驚きは如何ばかりだったろう! それは殆んど狼狽にも近かった。私は自分を取り失ったような気がした。