후리가나로 읽는 일본 고전
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びわでん
琵琶伝
泉 鏡花
泉 鏡花의 琵琶伝(びわでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,081자 · 24화면
渠は旅団の留守なりし、いま山狩の帰途なり。ハタと面を合せる時、相隔ること三十歩、お通がその時の形相はいかに凄まじきものなりしぞ尉官は思わず絶叫して、
「殺す! 吾を、殺す※」
というよりはやく、弾装したる猟銃を、戦きながら差向けつ。
矢や銃弾も中らばこそ、轟然一射、銃声の、雲を破りて響くと同時に、尉官は苦と叫ぶと見えし、お通が髷を両手に掴みて、両々動かざるもの十分時、ひとしく地上に重り伏せしが、一束の黒髪はそのまま遂に起たざりし、尉官が両の手に残りて、ひょろひょろと立上れる、お通の口は喰破れる良人の咽喉の血に染めり。渠はその血を拭わんともせで、一足、二足、三足ばかり、謙三郎の墓に居寄りつつ、裏がれたる声いと細く、
「謙さん。」
といえるがまま、がッくり横に僵れたり。
月青く、山黒く、白きものあり、空を飛びて、傍の枝に羽音を留めつ。葉を吹く風の音につれて、
「ツウチャン、ツウチャン、ツウチャン。」
と二たび三たび、谺を返して、琵琶はしきりに名を呼べり。琵琶はしきりに名を呼べり。
明治二十九(一八九六)年一月