후리가나로 읽는 일본 고전
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いなかいしのこ
田舎医師の子
相馬 泰三
相馬 泰三의 田舎医師の子(いなかいしのこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,947자 · 76화면
彼は、畑と畑との間を辿って進んだ。河骨などの咲いている小流れへ出た。それに添うて三四町行くと、そこに巾の狭い木橋が架っていた。そこからほど遠からぬところに、さほど広くもないが年中びしょびしょしている一つの荒地のあった事を思い出したので、彼はそれを目あてに歩いて行った。その場所は、今はだいぶすでに開墾されて立派な畑地になっていた。それでも残余の部分には、一面に雑草が繁り合い、所々に短かい葦などが生えていたりして、どこかにまだ昔の面影が忍ばれた。赤のまんまや、金ぽうげなどが昔のまゝに多くそこに認められた。
彼は、そこに大きな柳の樹が一本あった事を忘れる事ができなかった。が、それはもう見られなかった。その柳の樹には、彼が幼年時代のもっとも鮮かな思い出の一つが宿されていた。それは、歳月とともに次第に薄らぎ滅びてゆく過去の多くの記憶の中に、それのみは独ります/\生々と光を増して来るような種類のものであった。
――彼は、まだ九歳か十歳であった。春の日のある暮れ方二三の遊び友達と遊んだあとで何かつまらない落し物を探していた。その時はそこに自分一人だけであった。