후리가나로 읽는 일본 고전
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おとこぎらい
男ぎらい
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 男ぎらい(おとこぎらい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,878자 · 18화면
そのかすかな音に、ぼんやり耳をかしていますと、あの男くさい家も、空気もだんだん遠くへ退いてゆくようで、気持ちも落着いてきました。私は堤防をかみへ歩いてゆきました。
轍のあとが少しついてるきりの、広々とした堤防です。木立もなく、草原だけで、春草はまだ臭を出していません。何にもなく、人影もなく、ただ深い静かな霧が一面にかけています。
その霧の中から、気づかぬまに、何かの形が浮き出していました。それとははっきり気をつけて見た時には、もう人の姿となっていました。堤防の上ではなく河の上を、こちらへ徐々に近づいてきます。見覚えというほどのものではなく感じに覚えがあるようです。あ、たしかに覚えがあります。キリストの姿です。それも、えらい画家が画いたキリスト像ではなく、世間に流布してる通俗なもの、至るところで見られるような、何の特長もない画像です。それが、河の上を歩いてきます。湖水の上を歩いて渡ったキリストも、この通りだったでしょう。その最もありふれた普通の姿のキリストこそ、私にとっては、最もすっきりしたもの、最も男くさくないもの、最も清らかなものだったのです。