후리가나로 읽는 일본 고전
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とめさんとそのおんな
留さんとその女
山本 周五郎
山本 周五郎의 留さんとその女(とめさんとそのおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,799자 · 14화면
留さんは通船会社の万年水夫である。
彼はもう三十八になる、蒸汽河岸きって――いや村の漁夫たちを入れても――いちばん色の黒い男だ。黒いといってあんな黒さがあるだろうか、噂によると、
「どんな暗闇のなかでも留さんの顔だけは黒く見える」
といわれている。
彼は右足の拇指がない、お人好しで、ぐずで、いつも喉をごろごろならせている、いうまでもなくそれは悪い病気のせいだ、しかし留さんには留さんの哲学があった。
「二十年も蒸汽に乗っていれば、誰だってどこかしら鳴るようにはなるべえさ」
彼は馬鹿踊りの名人だ。
留さんは三十五号船に乗っている。船長はぶるさんといわれる七十近い老人で、体の水脹れにふくれた中気病みである。そのうえもうすっかり眼が霞みはじめているので、航海の舵をとるのは無理であった。しかしぶるさんはがんとして舵機を放さない。
「おらがこの船を下りるのはおらの死ぬときだ」
と云っている。
それはそうかも知れぬ、けれど眼の霞みはひどくなるばかりで、その春だけでも三艘の漁舟を突沈めてしまった。そこで会社では――なんと物分りのよい人たちであろう――留さんにある役割を与えた。