후리가나로 읽는 일본 고전
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
本庄 陸男의 白い壁(しろいかべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 25,697자 · 51화면
一番うしろの机にいた大柄の子供が、突然「ふはあ――」と欠伸をした。子供たちはいっせいにそちらを振り向いた。三つの年に脳膜炎を患ったその子は、命だけは不思議に助かったが、いつも天井を見ていた。無類に模範的におとなしい彼は何を聞いても耳にはいらなかったし、何も言いたいことを持っていなかった。とうとう塚原は焦れて足を踏み鳴らした。
「先生――修身だってば、さ!」
川上忠一が廊下側から立ちあがった。
「あたいが修身をしてやらあ」
「ちえっ、手前の話なんか聞きたかねえや」と目玉をひんむいた錺屋の子が叫んだ。
「やれ、やれ」と塚原は音頭を取った。「先生、邪魔になるからそこを退きな、川上が修身をやんだからさ、早く退きな」
川上忠一は右肩をいからかして教卓の前に直立不動の姿勢をつくり、ぺこんと頭を低げた。それから薄い唇をぺちゃぺちゃと舐めてみんなを見まわした。
「あたいが三つの時のことなんだ、しんさいがあってさ、関東大震災でじゃんじゃん家が燃えちまってさ」
しんさい――と聞いて子供たちの呟きがなぜか一時に停るのであった。何かこれら不幸な子供の胸底にひっそり潜在していたものが、その一語でぐらっとひっくりかえり、そのぶ気味さに当わくしたような沈黙であった。