후리가나로 읽는 일본 고전
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ひゃくしんのふ
百唇の譜
野村 胡堂
野村 胡堂의 百唇の譜(ひゃくしんのふ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,209자 · 25화면
千代之助の悲しい望
千代之助の悲しい望
二人は葉蔭の濡れ縁に腰をおろして、夕陽の傾くのを忘れて話し込んで居りました。
小田切三也の娘真弓と、その従兄の荒井千代之助は、突き詰めた恋心に、身分も場所柄も、人の見る目も考えては居なかったのです。
千代之助は二十一、荒井家の冷飯食いで、男前ばかりは抜群ですが、腕も学問も大なまくら、親に隠れて、小唄浄瑠璃の稽古所に通ったり、小芝居の下座で、頼まれれば篠笛を吹いたりするような心掛ですから、どんなに間違ったところで伯父の小田切三也が、娘の婿にする筈もありません。
真弓は取って十八、魂を吹っ込んだ人形のように綺麗な娘で、千代之助とは幼な友達、それが何時の間にやら、恋心に変ったのですが、父親の三也は、そんな事に一向お構いなく、これも五六年前から小田切家に引取って居る、遠縁の若侍半沢良平と厄年を嫌って、此秋は祝言をさせる段取まで決って居たのです。
若い二人は、併しそんな事に遠慮などはありません。「男女七歳にして席を同ゅうせず」と言った旧道徳は、徳川幕府の勢威と共に頽れて仕舞って、今は従兄弟同志の親しさに、角目立って物を言う人も無いのを幸い、鎧蔵の前の濡れ縁に寄り添って、もう半日近く何んか囁き合って居ります。