후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(三)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 222,108자 · 446화면
羅刹谷
いずれこの兵馬も、鎌倉大軍の一部に違いあるまいが、およそ戦勝者らしくもなく、兵は泥ンこでみな無口で、すでに洛内で凱旋気分を揚げているほかの得々たる諸大将の派手やかさとは、全く似ても似つかない。
もし軍装や兵の表情が、いくらかでもその大将の立場なり性格を反映するものなら、この一勢の大将は、よほど何か不遇にあるか、不満なのか、とにかく、異常者にちがいなかった。
旗はと見れば。
その旗も幾多の風の日、雨の日に会って、印もよく分らなくなっているが、丸の中に二引き両の紋、つまり足利氏の定紋である。
足利又太郎高氏が、これをひきいている者だった。
「おい、十郎」
さっきからその高氏は、掖門ノ廊に床几をおいて、内苑の梅でも見ている風だったが、ふと過ぎりかけた部将の佐野十郎へ、こう呼びかけた。
「どうも退屈だなあ十郎。――六波羅の返事はまだ来ないか」
「まだ見えませぬ」
「着到の届けは今朝早く差し出してあるのになあ。もう午ちかいだろう」
「やがてと思われまする」
「しかたがない。どう言ってみても、探題から宿所のご指定がないことには、入洛するにも行く方向がつかん。……オオ彼方の坊へ参って、剃刀と鏡を拝借して来てくれい」