후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(三)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 222,108자 · 446화면
淳朴な土民のうちにもまた乱世に乗じて一ト儲けを賭ける野性がいなくもないのであった。――これが土地に詳しい案内人であったとみえる。
「おうい。みんな入れ」
土間のうちで、部下五十名は、それぞれ身につけて行く持ち物を渡された。
油びたしの雑巾束やらカギ縄や忍び道具の類だった。
「いいな。みな持ったか」
念を押して、陶山は、
「では、案内しろ」
と、老農夫を頤で追った。
外は、すぐ木津の早瀬だ。農夫は狩犬のように先へ渡りこえた。浅瀬も杣道も心得ぬいているかに見える。一同も腰まで飛沫に吹かれながら、対岸の淵から絶壁の下にとりついた。
ここはちょうど笠置の北で、屏風のような切り岸である。しかし断崖の所々には松の根や、まばらな灌木が仰がれる。腰に鉈のような物を差した農夫の影は、縄のはしを口にくわえ、老猿のように、もう中腹の灌木に手をかけていた。そして上から、
「それっ、よしか」
と、木の根に結んだ縄梯子を岩肌で一つ振ってみせる。
面々がそれにすがって中腹まで攀じて行くと、老猿の影は、さらにまた一段上にあって、下の者をさし覗いていた。こうして、さしもの嶮岨ものぼり切ってしまうと、彼は厚ぼったい唇を剥いて、陶山の前に、強欲な手のひらをすぐつき出した。