후리가나로 읽는 일본 고전
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くうそうにちろく
空想日録
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 空想日録(くうそうにちろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,488자 · 21화면
これも人間の立場からは当然であろう。やがて魂の抜けた親熊の死骸が甲板につりおろされると、子熊はいきなり飛びついて母の首筋に食らいついて引きずり出そうとするような態度を見せる。おそらくこの痛手を負った母を引きずりながらこの場を逃げ出そうとするのであろう。その母はもうとうに呼吸が絶えており、そうして自分のからだには繩がかかっているのである。
この母熊の肉は探険隊員のあまたの食卓をにぎわすと同時に隊員のビタミン欠乏症を予防する役に立った。子熊のほうはたぶんそのうちに東京の動物園に現われ檻の前の立て札には「従来捕獲されたる白熊の中にて最高緯度の極北において捕獲されたるものなり」といったような説明書がつくことであろう。そのころにはもうあの北氷洋上の惨劇も子熊の記憶からはとうの昔に消えてしまっているであろう。
動物の目から見ればやはり人間は得手勝手なものに見えるであろう。氷海の無辜の住民たる白熊に対してはソビエト探険隊員は残虐なる暴君として血と生命との搾取者としてスクリーンの上に映写されるのである。
白熊がもしもチンパンジーであったら、この映画の観客に与える情緒は少しちがうであろう。