후리가나로 읽는 일본 고전
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こうばいのきゃく
紅梅の客
吉川 英治
吉川 英治의 紅梅の客(こうばいのきゃく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,574자 · 15화면
それで思いだしてきた。むかし廓の吉原にはこんなひとが居た気がする。それが誰かは考えついてこないが、しんそこ、花のしんまで真紅な女が稀れにかえってあんな泥の中には咲いていたのだった。私はなにも私の放蕩流連をきわめた若い日を恋わんがために紅梅を欲しがっていたわけではないが、春日の小庭の梅がしきりと話しかけてくるのである。あの人と彼の花魁と、あの友人とかの女と、いろんなことがそこではあった。おもしろかった。新内流し、仲の町のぞめき、格子先の影絵のような男たち、そんな夜景の霧に濡れて、まい晩三、四の友達とただ一ト回り歩いて帰るだけでもたのしかった。
あの中には人間の悪と色欲とを昇華させて、たんにそれだけでも何かの思いに浸させる吉原一廓の煩悩芸術が三百年来あったのである。それが失くなり、赤線の名さえ亡んでしまった灯のあとは、いまどうなってしまったのか、私も近ごろの事はさっぱり知らない。だが言えることは、吉原も平家のごときものだった。あの「平家物語」の庶民版は、吉原にもずいぶんあったろうにと思われる。
そういえば、こんなことが私にもあった。
戦争も終ったばかりの頃である。