후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 細雪(ささめゆき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,580자 · 287화면
ただ一番大きな原因を云えば、本家の姉の鶴子にしても、幸子にしても、又本人の雪子にしても、晩年の父の豪奢な生活、蒔岡と云う旧い家名、―――要するに御大家であった昔の格式に囚われていて、その家名にふさわしい婚家先を望む結果、初めのうちは降る程あった縁談を、どれも物足りないような気がして断り断りしたものだから、次第に世間が愛憎をつかして話を持って行く者もなくなり、その間に家運が一層衰えて行くと云う状態になった。だから「昔のことを考えるな」と云う井谷の言葉は、ほんとうに為めを思った親切な忠告なので、蒔岡の家が全盛であったのはせいぜい大正の末期までのことで、今ではその頃のことを知っている一部の大阪人の記憶に残っているに過ぎない。いや、もっと正直のことを云えば、全盛と見えた大正の末頃には、生活の上にも営業の上にも放縦であった父の遣り方が漸く祟って来て、既に破綻が続出しかけていたのであった。それから間もなく父が死に、営業の整理縮小が行われ、次いで旧幕時代からの由緒を誇る船場の店舗が他人の手に渡るようになったが、幸子や雪子はその後も長く父の存生中のことを忘れかねて、今のビルディングに改築される前までは大体昔の俤をとどめていた土蔵造りのその店の前を通り過ぎ、薄暗い暖簾の奥を懐しげに覗いてみたりしたものであった。