일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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せいかぞく

聖家族

堀 辰雄

堀 辰雄의 聖家族(せいかぞく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,074자 · 33화면

아오조라 문고

彼にはそれらのものが近づき難いように思われた。そこでそれらに近づくために彼は出来るだけ悲しみを装おうとした。だが、自分で気のついているよりずっと深いものだった、彼自身の悲しみがそれを彼にうまくさせなかった。そして愚かそうに、彼はそこに突立っていた。

「どうでしたか?」夫人が彼の方に顔をあげた。

「え、まだ大変な混雑です」彼はどぎまぎしながら答えた。

「では、私、もうあちらへお伺いしないで、このまま帰りますわ……」

そう言いながら夫人は自分の帯の間から小さな名刺を出してそれを彼に渡した。

「すっかりお見それして居りましたの……こんどお閑でしたら、宅へもお遊びにいらしって下さいませ」

扁理は、自分が夫人に思い出されたことを知り、その上そういう夫人からの申し出を聞くと、一そうどぎまぎしながら、何かしきりに自分もポケットの中を探し出した。そうしてやっと一枚の名刺を取り出した。それは九鬼の名刺だった。

「自分の名刺がありませんので……」そう言って、もの怖じた子供のように微笑しながら、彼はその名刺を裏がえし、そこに

河野扁理

という字を不恰好に書いた。

それを見ながら、さっきからこの青年と九鬼とは何処がこんなに似ているのだろうと考えていた細木夫人は、やっとその類似点を彼女独特の方法で発見した。