후리가나로 읽는 일본 고전
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はなこのちんじゅつ
花子の陳述
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 花子の陳述(はなこのちんじゅつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,726자 · 22화면
良吉さんは平気でいたようですが、わたくしたちの方は、美津子さんのことを案ずる気持ちが次第に深くなってゆきました。
美津子さんはふらりと茶の間にはいって来て、五分間ばかり話しこむと、俄に思いついたように、また二階に上ってゆくことが、しばしばでした。そして三畳の方に引っこんで、せっせと原稿を書いてるようでした。良吉さんがいない時は、六畳の方で勉強していましたが、あとではもう、三畳の方しか使わなくなりました。そこは、腰高の壁の上に小さな窓があるきりで、縁側の障子をしめ切ると、陰気な薄暗い室ですが、その中に閉じこもって、ことりとの物音も立てないで、原稿を書いていました。
あの時など、美津子さんは顔色を変えておりて来ました。
「生い立ちの記を夢中になって書いていまして、ふと顔を挙げると、窓から誰か覗いていました。窓の障子の紙に小さな穴がありまして、そこにはっきり眼が見えました。きっと、わたしの原稿を盗み見していたに違いありません。障子紙がありましたら、少し下さいませんか。あの穴をふさいでやりますから。」
障子紙を貰って、二階に上ってゆきましたが、それきり、ひっそりとなってしまいました。