후리가나로 읽는 일본 고전
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
永井 荷風의 花火・来訪者 他十一篇(あぢさい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,046자 · 104화면
区役所から水道を無益につかわないようにという達しが出た。近郷近在は無論干魃だという噂である。店の手代は昨日は九十度、今日は午前からもう八十三度だと云っていたが、しかし慶三の身にはこの堪えがたい酷暑が今年ばかりは春や秋よりも却て面白い楽しい有難い時候であるように思われた。何故というに慶三は最早や着物を着たり帯をしめたりしているお千代の姿を見る暇がなくなったからである。お千代は袖のない晒木綿の肌着をさえ脱捨てていつも膝位しかない短い腰巻一つでごろごろしている。ちゃぶ台で差向いにビイルを飲む時も、立って便所へ行く時も或は二階の蚊帳へ這入ってからは猶更、慶三の目の前からは一瞬間たりとも残る隈なく電燈の光に照し出されたお千代の真白なぽっちりした裸形の消去る暇がない。二階の六畳に下の座敷二間を入れた狭い妾宅中は、どこへ行ってもお千代の真白な身体に煌々たる電燈の光の反射せぬ処はないように思われた。
まだまだそれのみでは無い、二十年この方ない暑さだという恐ろしい夏がこの上もなく慶三を喜ばした理由は、お千代の裸体と合せてお千代の住む妾宅のその周囲の情景であった。
神楽坂上の土地の事とて横町全体の地盤が坂になっている処から妾宅の二階から外を見ると、大抵は待合か芸者家になっている貸家がだんだんに低く箱でも重ねたように建込んで