후리가나로 읽는 일본 고전
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くさまくら
草枕
夏目 漱石의 草枕(くさまくら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 84,485자 · 170화면
一行の舟が、ゆるく波足を引いて、その前を通った時、この男はふと顔をあげて、久一さんと眼を見合せた。眼を見合せた両人の間には何らの電気も通わぬ。男は魚の事ばかり考えている。久一さんの頭の中には一尾の鮒も宿る余地がない。一行の舟は静かに太公望の前を通り越す。
日本橋を通る人の数は、一分に何百か知らぬ。もし橋畔に立って、行く人の心に蟠まる葛藤を一々に聞き得たならば、浮世は目眩しくて生きづらかろう。ただ知らぬ人で逢い、知らぬ人でわかれるから結句日本橋に立って、電車の旗を振る志願者も出て来る。太公望が、久一さんの泣きそうな顔に、何らの説明をも求めなかったのは幸である。顧り見ると、安心して浮標を見詰めている。おおかた日露戦争が済むまで見詰める気だろう。
川幅はあまり広くない。底は浅い。流れはゆるやかである。舷に倚って、水の上を滑って、どこまで行くか、春が尽きて、人が騒いで、鉢ち合せをしたがるところまで行かねばやまぬ。腥き一点の血を眉間に印したるこの青年は、余ら一行を容赦なく引いて行く。運命の縄はこの青年を遠き、暗き、物凄き北の国まで引くが故に、ある日、ある月、ある年の因果に、この青年と絡みつけられたる吾らは、その因果の尽くるところまでこの青年に引かれて行かねばならぬ。