후리가나로 읽는 일본 고전
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きくちよしょう
菊千代抄
山本 周五郎
山本 周五郎의 菊千代抄(きくちよしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,178자 · 72화면
暗くした燈火が横からさして、松尾の肥った頬の片面を静かな色に染めていた。髪に白髪が出たのだろう、鬢のところに幾筋かきらきらと光っているのが見える。菊千代は自分の頭がきれいに冴えて、憑きものでもおちたように、からだ全体が爽やかになっているのを感じた。
――ながいあいだせわをかけた。
気持のいい甘いような溜息が出る。松尾だけではない、幼いころからずいぶん多くの者に面倒をかけせわになった。庄吾満之助、椙村半三郎、別家の主税にも。……癇が立って薙刀で相手の腕を折ったことがある。あの少年はなんという名であったか。赤、かんぷりなどというあだ名の子もいた。けれども誰より好きなのは半三郎であった。……椙村半三郎、慥か側用人の二男であったが、美少年で、静かな性分で、思いやりがあって、……そこまで回想してきたとき、菊千代はぎゅっと眼をつむった。
――いやそんなことはない。
彼女は胸の上で両手を強く握った。ずっと昔、自分は半三郎を手にかけた。その手で押えつけて、短刀で二度、彼の胸を刺した。みにやった松尾は「おみごとにあそばした」と云ったのを覚えている。……葦屋を斬ろうとしたとき、前に立ち塞がったのは楯岡三左衛門であった。